コモが糀に与える良いこと3つをお伝えします

更新:2021年2月2日 カテゴリ:

今日は糀作りに使う「コモ」という道具が、どんな良い影響を糀にもたらすのかお伝えします。

 

 

コモとは・・・稲わらを乾燥させ板状に編んだもの。コモは糀作りの最終工程に登場します。水を含ませ、糀蓋(こうじぶた)という糀の入る入れ物にかけます。
糀作り以外には玉露茶の日光避けや樹木の表層保護などに使用されています。

 

 

昨年秋、かど万のコモ作りをお願いしている諏訪さんを訪ねました。稲わらを編みやすいに選別し梳(す)き、道具を使い手作業で編みます。手際よくスイスイと編まれていましたが、熟練された技術です。諏訪さんの手を見ると畑、田んぼ、保存食作り…なんでも知ってるのがわかります。

さて本題にもどり、なぜコモが良い影響をあたえるのか3つお伝えします。

 

1,糀作りに必要な環境を整えてくれる

かど万米店では、麹菌は高温多湿の環境が望ましいと考えています。
普段、糀作りは「ムロ」という1年を通して暖かい部屋で作っているのですが、それだけでは良い糀が育つ環境は整いません。
麹菌が糀へと繁殖する過程で、湿度の調節がひとつのポイントであり、そこで「コモ」を取り入れることにより湿度、温度をより緻密に管理できます。
コモを被せる作業は昔ながらの手法であり、かど万米店では良い糀づくりにはコモが重要だと考えています。
コモは糀の原材料である米からでる 副産物、稲わらを使うので自然環境にも良く合理的なんです。良いことづくめですよね。

 

 

2,上記の条件が整うことで、最後に一気に糀の花を咲かせることが出来る「糀の美しさ=糀の分解力の活発さに繋がる」

水を含ませたコモを糀(正確には糀になる前の米)にかぶせ一晩、次の日早朝に糀は出来上がります。じわじわ、じわじわと米に菌糸を張り巡らせた麴菌は最後の一晩で一気に米を糀へと変えていきます。糀は、その字の通り米に花が咲いた姿をしています。かど万の店主は経験から「コモを使わないとこうはならない」と断言しています。そして、糀の花のふわふわ感、見た目の美しさはそのまま糀の分解力に繋がると確信しています。良い糀を作るためにコモは絶対に欠かせない要素のひとつなんです。

 

 

3,稲に着いている人間に有益な微生物が麹菌との共存をはかり、より栄養価の高い糀を作り出すことができる…のではないか?

麹菌は、元々、稲に着く自然界に浮遊している菌の一種であるのはご存じですか?現在私たちは、種麹屋さんから麹菌を購入していますが元を辿ると自然に存在する菌を使っているのと同じになります。(ただし興味本位で自然の麹菌を採取したりするのは控えてください)
今世間を騒がせているウイルスが存在すると同時に、人間に良い影響を与えてくれる菌も居ます。その一つが麴菌でもあります。また、稲や稲を育てる土壌、空気、水を育む山と川にも沢山の菌たちが住んでいます。そう考えると、コモとなる稲にも目に見えない菌たちが住み着いて麹菌だけでは無い優秀な菌たちと共存をはかっているのでは?と想像を巡らせてしまいます。

糀や味噌といった昔からあるものが今も残り、皆さんに慣れ親しんで頂ける理由の一つとして、こうした自然との繋がりを感じることができるからではないかと思います。

最後は漠然とした話になってしまいましたが、コモが良い影響を与えてくれること皆さんに感じていただければ幸いです。