食品添加物が無かった時代、糀が担う役割りのお話し

更新:2014年11月21日 カテゴリ:味噌,

食品の“保存”という面において、一役買っている「糀」。「味噌」は、その中の代表格と言えます。

今日は、保存料など食品添加物が無かった時代からある「味噌」について、今後「糀」が担う役割りとともにお話しします。

味噌

少し前の話しですが、かど万に味噌加工のご注文をして下さった祖母や祖父の世代にあたるお客様が、

「お味噌は、無添加でお願いします。」

と、申し出てきました。そして、

「塩は控えたいから減塩でね。」

とおっしゃいました。

それを聞いて

「大丈夫ですよ、無添加ですし、うちの味噌はそれほど塩分が多くないですよ。」

とお伝えしましたが、その後、お客様が望むお味噌について少し疑問が残りました。

お味噌にも食品添加物が入るのが当たり前になっている。

減塩は、体に良いというイメージが定着している。

今、長期保存がきく加工食品には、ほとんど食品添加物が入っていると思います。仕方ないことですが、これが味噌にも当たり前になってしまったら・・・と考えたら。

糀が行う「発酵」という仕事が無くなってしまうのではないでしょうか。

●糀が入り、発酵していれば、腐らない

味噌には、本来「賞味期限」はありません。それは時間が経てばたつほど発酵が進み、美味しさが増えていくからだと思います。

味噌

味噌の材料は、茹でた大豆、糀、塩。

茹でた大豆を潰し、塩と良く混ぜた糀と合わせます。大豆の煮汁も加え、よく混ぜたら容器に詰め、翌日重石を載せて数ヶ月後・・・発酵が進みおいしい味噌ができあがります。

そのまま食べると、塩からいだけだった大豆ペーストは、時間の経過とともに麹が働いて、味噌へと変化します。そして、麹が働いている味噌は腐るということはありません。

味噌は、麹のちからによって生み出されたアルコールと塩分濃度によって長期保存が可能になっています。さらに、一度麹が働いた味噌の中に他の雑菌は入る事が出来ません。

もし、上記の写真のように仕込んだ味噌の表面にびっしりと「酵母」がくっついていても大丈夫。びっくりするかもしれませんが、中に入り込む事はありませんし、この白いカビみたいな「酵母」は食べても問題ありません。

でんぷんやタンパク質が分解され発酵が進んでいる証拠なんです!

味噌

麹がしっかりと働いていれば、味噌や塩糀、金山寺は、糀と塩で長期保存が可能になります。

食品添加物はいけない、とまで言い切れませんが、出来る事ならさけておきたいものだと思います。

それに頼らず、食材を長期保存、活用したい時、糀は今以上に皆さんのお役に立てると思います!